AI翻訳は下訳や要約を速くしますが、専門用語、固有名詞、否定、条件を誤ると、自然な文章のまま重大な誤訳が残ります。翻訳者・通訳者にとって重要なのは、生成速度ではなく、用語と根拠を管理できることです。
翻訳者が使いやすい工程
- 原文の分野・対象読者・目的を整理する
- 固有名詞と専門用語の候補を抽出する
- 既存資料から対訳を探す
- 下訳を作り、未確定箇所をマークする
- 数字、否定、条件、参照先を確認する
- 用語と表記を一括チェックする
- 今回の確定訳を用語集へ追加する
案件開始時に用語集を作る
| 原語 | 確定訳 | 使用場面 | 使用しない訳 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 製品名 | 正式表記 | 全文 | 略称 | 公式サイト |
| 専門用語 | 顧客指定訳 | 技術文書 | 一般訳 | 用語集 |
AIへ用語集を渡すだけでなく、確定訳と候補訳を分けます。複数の意味がある語は、文脈と対象読者を付けます。
音声案件の下準備
通訳や映像翻訳では、録音の文字起こしから話者、時刻、固有名詞を整理します。原発言と通訳発言が同じファイルにある場合は、言語と話者を分けます。
聞き取れない箇所をAIに推測させず、時刻付きで「不明」と残します。後から別担当者や依頼者へ確認できる状態を保ちます。
AI訳の優先チェック
- 数字、単位、通貨
- 日付、時制、期限
- 否定、例外、条件
- 人名、会社名、製品名
- 代名詞が指す対象
- 法的・技術的な義務の強さ
- 表や見出しと本文の対応
- 訳抜けと重複
自然さだけを先に直すと、内容の誤りを見落とします。意味、完全性、用語、文体の順に確認します。
通訳準備で使う
会議資料から、参加者、目的、略語、数字、想定質問を抽出し、短い準備シートを作ります。過去会議の録音が利用できる場合は、話者の速度や頻出表現を確認できます。
ただし、機密資料や録音を外部サービスへ入力できるかは、依頼者との契約と組織ルールを確認します。
品質確認用プロンプト
> 原文と訳文を比較し、数字、固有名詞、否定、条件、時制、訳抜け、意味の追加、用語不統一の候補を示してください。訳文を勝手に確定せず、原文、訳文、問題の種類、修正候補、要確認理由を表にしてください。
AIへ全面的な書き直しをさせるより、問題候補を抽出させる方が変更理由を追いやすくなります。
案件後に残すナレッジ
- 確定した用語と表記
- 顧客固有のスタイル
- 誤りやすかった語句
- 参照した公式資料
- 次回確認する未解決事項
- 利用許可されたAI・保存場所
原文や音声そのものを長期保存できない契約では、保存可能な用語情報だけを分離します。
多言語端末の比較は多言語AIボイスレコーダー比較、固有名詞対策は専門用語・人名の文字起こし精度を上げる方法で解説しています。
まとめ
翻訳・通訳でのAI活用は、下訳の速さより、用語、根拠、未確定箇所を一貫して管理できるかが重要です。会話と確定訳を案件横断で検索できる仕組みは、継続案件の準備時間短縮にも役立ちます。
