AI議事録は、読みやすい文章を短時間で作れます。しかし、会議では決まっていない内容を決定事項としてまとめたり、曖昧な返答へ理由を補ったりすることがあります。
この問題は、AIを使わないことではなく、根拠へ戻れる形で使うことによって抑えられます。
誤要約が生まれる4段階
| 段階 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 録音 | 声が欠ける、重なる | マイク配置、試し録り |
| 文字起こし | 否定、数字、話者を誤る | 重要箇所の原音確認 |
| 要約 | 文脈を補う、断定を強める | 推測禁止、根拠時刻の表示 |
| 共有 | 未確認の内容が正式記録になる | 承認者、版、確認範囲を明示 |
要約だけを直しても、入力の文字起こしが誤っていれば正しくなりません。工程ごとに品質を分けて考えます。
誤りやすい表現
検討と決定
「一度検討します」が「実施することになった」と変わると、会議結果が逆になります。決定、提案、保留、却下を別の欄へ分けます。
希望と約束
「できれば金曜まで」が「期限は金曜」となる場合があります。担当者と期限は、会議中に明示してから記録します。
理由の補完
会議で理由が語られていないのに、もっともらしい背景を加えることがあります。記録にない理由は「不明」とします。
話者の入れ替わり
賛成した人と反対した人が逆になると重大です。発言者が必要な箇所は話者分離結果を原音確認します。
プロンプトで制約する
> 以下の文字起こしだけを根拠に議事録を作成してください。決定事項、提案、保留、未確認を分け、記録にない情報は補わないでください。各決定事項には根拠となる発言の時刻を付けてください。担当者または期限が明示されていない場合は「未設定」と記載してください。
「正確にまとめて」だけでは、AIに何を正確とするか伝わりません。推測禁止、分類、根拠、欠損時の表記を指定します。
根拠付きの議事録にする
重要な決定には次を添えます。
- 原音または文字起こしの時刻
- 発言者
- 決定時の条件
- 確認した人
- 最終更新日時
全文章へ根拠を付ける必要はありません。金額、期限、担当、対外約束など、間違えると影響が大きい箇所へ絞ります。
人の承認フロー
- 作成者が文字起こしと要約を確認する
- 会議進行者が決定事項を確認する
- 各担当者が自分のタスクを確認する
- 社外共有部分は責任者が最終承認する
- 承認後の版を変更不可または履歴付きで保存する
全員が全文を読む必要はありません。役割ごとに確認対象を分けると、負担を抑えながら精度を上げられます。
誤要約を改善データへ変える
誤りを「AIが間違えた」で終わらせず、種類を記録します。数字、否定、話者、固有名詞、決定区分のどれが多いか集計すると、録音環境やテンプレートを改善できます。
同じ製品名を毎回直しているなら辞書を作り、決定と提案が混ざるなら会議中の言い方を統一します。AIの後処理だけでなく、会議そのものを記録しやすくすることが重要です。
承認の役割分担はAI議事録は誰が確認する?、重要箇所の確認方法は会議の文字起こし品質を確認する方法で詳しく説明しています。
まとめ
誤要約は、プロンプト一つでは防げません。録音、文字起こし、要約、承認を分け、重要事項から原音へ戻れる状態を作ることが基本です。会話と生成物を同じ場所で検索できる仕組みは、根拠確認の時間短縮にも役立ちます。
