自治体・行政のAI活用は、住民の権利や行政判断をAIへ任せることではありません。公開情報の検索、文書の下書き、表現の平易化など、職員が根拠へ戻って確認できる補助業務から始めます。

担当者向けには自治体職員のAI活用、海外の運用設計は英国政府のAI Playbookも参照してください。

行政AIを5つの業務に分ける

業務AIが支援できること人が確認すること初期KPI
庁内検索条例、規程、手引きの候補提示版、施行日、所管、例外原文到達時間
文書作成通知、説明資料、議事要旨の下書き制度、金額、期限、固有名詞作成時間、修正率
窓口支援質問分類、必要書類の候補本人の状況、対象要件、救済手段待ち時間、再来庁率
情報発信やさしい日本語、多言語の下書き意味の一致、アクセシビリティ校正時間、問い合わせ数
集計意見募集やアンケートの分類少数意見、分類基準、母数集計時間、再分類率

調達と利活用を一体で設計する

デジタル庁の生成AI調達・利活用ガイドラインは、行政での利活用促進とリスク管理を表裏一体で進めるための枠組みです。ツールを契約してから使い方を考えるのではなく、対象業務、扱う情報、責任者、評価、終了時のデータ返却・削除までを調達要件に含めます。

住民向け回答は「根拠表示」を必須にする

AIの回答が自然でも、古い制度や別自治体の条件が混ざる可能性があります。回答案には参照した公式文書、更新日、該当箇所を付け、職員が原文へ戻れるようにします。

  • 給付、課税、許認可、処分をAIだけで決めない
  • 個人情報を含む相談は一般公開型AIへ入力しない
  • 翻訳文だけでなく原文も並べて確認する
  • 住民に影響する誤りの報告・訂正手順を決める
  • 部署別の利用件数、修正率、事故を継続監視する

30日で行う限定導入

期間実施内容合格条件の例
1週目公開情報だけを使う1業務を選ぶ現状時間と誤りの基準値がある
2週目入力区分、参照元、承認者、ログを設定所管・法務・情報部門が確認済み
3週目職員限定で従来手順と並行利用全回答を原文と照合できる
4週目修正率、問い合わせ、利用率を評価公開範囲と停止条件が決まる

行政AIの価値は、住民への説明を省くことではなく、職員が根拠を確認し、より分かりやすく届ける時間を増やすことにあります。

参考にした一次情報