文字起こしは音声より検索・転送しやすいため、共有範囲を誤ると情報が広がりやすくなります。氏名を伏せるだけでは、顧客番号、案件名、役職、日時などから個人や取引先を推測できる場合があります。
共有前には、削除する情報の種類、公開範囲、目的を先に決めます。
まず情報を4段階に分ける
| 区分 | 例 | 基本対応 |
|---|---|---|
| 公開可能 | 公開済み製品情報、一般的な手順 | そのまま利用可 |
| 社内限定 | 未公開方針、社内役割、進捗 | 社内権限を限定 |
| 機密 | 顧客情報、契約条件、原価、障害情報 | 原則削除または限定共有 |
| 認証・高機密 | パスワード、秘密鍵、本人確認情報 | 記録へ残さず、発見時は即時対応 |
組織の情報分類ルールがある場合は、その区分を優先してください。
削除候補になる情報
- 氏名、住所、電話番号、メールアドレス
- 顧客番号、社員番号、予約番号
- 口座、決済、本人確認に関する情報
- パスワード、APIキー、認証コード
- 未公開の価格、契約条件、原価
- 健康、人事評価、家庭事情などのセンシティブな内容
- 障害の詳細やセキュリティ構成
- 発言者を推測できる所属・役職・日時の組み合わせ
実務での削除手順
1. 共有目的を一文で決める
「プロジェクトメンバーが決定事項を確認するため」など、目的を限定します。目的に不要な雑談や個人事情は削除対象です。
2. AIで候補を抽出する
利用が許可された環境で、個人情報、認証情報、契約情報、健康・人事情報の候補を抽出します。AIには削除確定ではなく、候補と理由を出させます。
3. 置換ルールを統一する
氏名は「顧客A」、案件は「案件X」のように置換します。同じ人物へ同じ記号を使えば、会話の流れを保てます。
4. 前後の文脈を確認する
一語だけ消しても、「大阪支店の唯一の○○担当」のような表現で特定できる場合があります。文章全体で再識別できないかを見ます。
5. 元データと共有版を分ける
原本を上書きせず、閲覧権限を限定した原本と、情報を削除した共有版を別管理します。ファイル名へ版と作成日を入れます。
6. 期限を設定する
共有リンク、文字起こし、原音それぞれに期限を設けます。目的が終わったデータは削除またはアクセスを停止します。
AIへ候補抽出を依頼する例
> 次の文字起こしから、共有前に確認すべき情報を抽出してください。分類は、個人を直接特定する情報、組み合わせで特定できる情報、契約・価格情報、認証情報、健康・人事情報です。原文、分類、理由、置換案を表にし、原文自体は変更しないでください。
AIへ原文を書き換えさせた後に人が見ると、消しすぎに気づきにくくなります。最初は候補一覧を作り、承認後に共有版へ反映します。
録音段階で減らす
最も安全なのは、不要な機密情報を録音しないことです。認証情報を読み上げない、センシティブな議題では録音を止める、議題ごとにファイルを分けるなど、収集時点で減らします。
保存先の比較はAIボイスレコーダーの音声データはどこに保存されるか、削除期限の決め方は録音データの保存期間と削除ルールも参考になります。
まとめ
文字起こしの安全な共有には、名前の置換だけでなく、目的、受け手、再識別可能性、保存期限の確認が必要です。原音・文字起こし・要約を一元管理する場合も、それぞれに別の閲覧権限と削除ルールを設定します。
