電力・ガス・インフラのAI活用は、設備保安と供給継続を守りながら、膨大な画像、センサー、作業記録から確認すべき候補を絞る取り組みです。AIの判定より、見逃した場合の影響から確認工程を設計します。
担当別には保全技術者のAI活用、電気工事士のAI活用、現場保守のAI活用も参照してください。
インフラAIを6つの業務に分ける
| 業務 | AIが支援できること | 人が確認すること | 初期KPI |
|---|---|---|---|
| 需給 | 需要・発電量の予測候補 | 気象、停止計画、系統条件 | 予測誤差、調整量 |
| 巡視 | 画像から腐食・損傷候補を抽出 | 現物、撮影品質、死角 | 検知率、確認時間 |
| 予兆保全 | センサーの異常傾向候補 | 運転条件、整備履歴、影響 | 早期発見、誤警報 |
| 作業支援 | 手順検索、報告書下書き | 設備ID、許可、現場条件 | 作成時間、差戻し |
| 障害対応 | ログ要約、原因仮説、影響候補 | 時系列、隔離、復旧権限 | 初動時間、復旧時間 |
| 技能継承 | ベテラン記録の整理、質問候補 | 暗黙条件、例外、安全 | 検索時間、教育時間 |
誤検知と見逃しを別々に管理する
経済産業省の送電設備におけるAI実証では、対象によって検出結果が異なり、学習データ追加などの改善が必要な項目も示されています。平均精度だけでなく、設備種別、環境、異常種別ごとに見ます。
- 重大な異常はAIが正常でも人が確認する
- 撮影条件とセンサー欠測を記録する
- 警報の根拠データへ戻れるようにする
- 運用データの変化を監視し、再学習を承認制にする
- 制御系と情報系の境界、権限、更新を管理する
30日で行う限定導入
| 期間 | 実施内容 | 合格条件の例 |
|---|---|---|
| 1週目 | 1設備・1異常・1業務を定義 | 現状の見逃し、時間、停止影響が分かる |
| 2週目 | データ品質、確認、警報、停止手順を設定 | 保安・運用・セキュリティが確認済み |
| 3週目 | AI判定を従来点検と並行比較 | 従来の保安手順を省略しない |
| 4週目 | 検知、誤警報、現場負担を評価 | 拡大条件と再検証時期が決まる |
インフラAIは点検を消すためではなく、限られた人員が優先順位を付け、異常へ早く到達するために使います。